2022.3.4 一般質問

全議会会議録(県議会のHP)

安部弘彦

皆さん、おはようございます。

「食と緑を守る緑友会」 福岡県議団の安部弘彦でございます。 
それでは、通告書に従いまして一般質問をさせていただきます。今日は、GIGAスクールにおける諸課題についてであります。
 令和三年度は、GIGAスクール構想元年と言われており、県内の小中学校では、一人一台端末や電子黒板などの情報機器を活用した教育がスタートをしています。文部科学省は、GIGAスクール構想の実現に向けて標準仕様書を提示し、各自治体では、これを参考として学校のICT環境の整備が進められました。県内の公立小中学校においては、昨年度中に全ての市町村において高速大容量の校内通信ネットワークと一人一台端末が整備されました。一方で、我が国の学校教育は、このような社会全体の動きや、国際的な教育の動向から取り残されてきたと言われておりました。それだけに、このGIGAスクール構想により学校教育の情報化を一気に加速することが期待をされているわけですが、様々な対応や大きな変革を迫られる学校現場では、混乱や不都合も生じているのではないかと危惧をしております。本日は、GIGAスクール構想の推進に伴う諸課題について、以下、教育長に四点お尋ねをいたします。
 まず、小学校教員で授業力は抜群であるが、情報機器の扱いにアレルギーがあり、情報機器を使った授業となると全く力を発揮できない教員がいるという話を聞きました。ベテランで人間力があり、児童生徒、PTAの信頼も厚い熱血先生にそのような教員が多い傾向にあるように感じます。GIGAスクール時代の学校なればこそ、そのような先生は重要な存在なのではないでしょうか。なぜならば、学校教育の情報化は、将来を生きる子供たちにとってはもちろん大事なことだと思いますが、学校教育はそれだけではないと思うからであります。黒板を使い、巧みな話術で子供たちを引き込む授業を繰り広げる教員や、子供の僅かな変化に気づいたり、心に寄り添って叱咤激励をする教員こそ、我が国の学校教育の財産ではないでしょうか。
 そこで伺います。GIGAスクール時代の教員の指導力について、教育長の見解をお聞かせください。
 これに関連して、学校の教員にもICT教育に精通している者もいれば、情報機器にアレルギーを持っている者もいます。そのような中でも、情報機器を授業の中でうまく使いこなせる教員を増やしていかなければなりません。情報機器の持ち腐れとなってしまいます。また、児童生徒にも、家庭で日々触れていて自由に使いこなせる子もいれば、学校に来て初めて触れるという子もいると思います。一つのクラスの中でも、そのようなICTリテラシーに格差のある児童生徒が混在をしています。学校の教員には、そのような状況の中で、児童生徒のICTリテラシーを高めつつ、ICTを活用した教育を展開していくことが求められており、とても難しいことだと思います。
 そこで、教員のICT活用指導力を高めることをどのように実現するのか、教育長のお考えをお示しください。
 次に、アフターコロナにおけるリアルな体験活動について伺います。学校教育においても、GIGAスクール構想による学校のICT環境の整備が進んだことで、コロナ禍では実現しにくい地域の方々との交流や、文化芸術体験をオンラインで実施したり、バーチャル修学旅行を実施したりといった事例もあると聞きました。このような取組は、コロナ禍において何とか体験活動の機会を保障する工夫としては重要であると考えますが、オンラインやバーチャルで労せずして疑似体験ができることをもって実際の行動や体験をしないでもいいという、リアルな体験活動を重視しない風潮がアフターコロナになっても強まっていくのではないかと懸念をしています。主に学校以外で行われたコロナ前までの体験活動は、匂いや手触りといったリアルでしか味わえない感覚もあったと思います。また、分かることとできることは違うと言われるように、自分の手で実際にやってみる経験がないと、生きて働く体験にはならないと思います。特に成長過程にある子供たちにとっては、リアルな体験活動を通じて学ぶべきことがたくさんあるのではないでしょうか。
 そこで伺います。体験活動の重要性を踏まえ、アフターコロナにおける学校以外での体験活動をどのように進めていくおつもりか、教育長の考えをお伺いします。
 最後に、情報モラル教育についてであります。GIGAスクール構想が始まる以前から、子供たちの身近にはスマホやインターネットがあり、有害情報を含む大量の情報に触れるとともに、SNSなどを通じて見知らぬ他者とつながったり、情報を発信したりしています。このような情報化社会の進展の中では、子供たちが情報技術の利用に関する適切で責任ある行動が取れるように育成をしていかなければなりません。もちろん学校の中でもICT活用が進む中では、情報モラルを身につけさせることや、様々な情報の真偽を主体的に判断し、適切に行動できるようにしていかなければならないと思うからであります。
 そこで、今後の情報モラル教育の推進について教育長の見解を伺います。
 私自身、情報技術、システム分野に身を置く技術者の一人として、児童生徒が一人一台端末を安全かつ最大限活用していくためには、サイバーセキュリティー、個人情報保護や犯罪防止という観点からの配慮も強くお願いをしたいと思います。教育長の将来を見据えた答弁に期待をして、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。

吉田教育長

A.教育長

 

GIGAスクール時代の教員の指導力についてでございます。現在、学校のICT環境が整備される中で、これを教員が学習指導等の様々な場面で活用する能力が求められておりますが、そもそも教員に求められる資質、能力には、使命感や責任感、教育的愛情、教科に関する専門的知識などがあると考えており、これらの重要性はGIGAスクール時代においても変わりません。また、今日の複雑な教育課題に対応していくためには、経験豊富なベテラン教員、ICTスキルにたけた若手教員、そして専門スタッフなどがそれぞれの強みを生かして、チーム学校として組織的な教育活動を展開していくことが重要であると考えております。
 教員のICT活用指導力を高める取組についてでございます。本県の小中学校においては、一人一台端末や高速大容量通信ネットワーク等のICT環境が十分に活用されるよう、基礎研修や中核教員対象研修、管理職対象研修など、教員のスキルや役割に応じた複層的な研修を実施して、ICT活用指導力の向上を図っております。今後は、その成果を基盤として、ICTを活用した効果的、効率的な指導方法等について、各教員が必要な力を身につけられるような研修などに取り組んでまいります。
 次に、アフターコロナにおける体験活動についてでございます。体験活動は、子供たちに社会で求められるコミュニケーション能力や自立心、主体性、協調性、チャレンジ精神を育むなど、教育的効果の高い重要な活動でございます。情報通信技術が発達し、オンラインでの間接的、疑似的な活動が増える中、改めて直接的な体験活動の意義を各種研修会等で啓発をしてまいります。併せて、放課後子供教室での体験活動や県立青少年教育施設でのファミリーキャンプ、ふくおか体験活動出前隊によるアウトリーチ型の取組など、実体験を伴う様々な活動機会の提供に努めてまいります。
 情報モラル教育の推進についてでございます。本県では、全ての教職員が自身の情報モラルを高めつつ、いわゆるフェイクニュースなどの誤った情報や各種の有害情報に関する問題、情報化が社会にもたらす影響について認識をし、児童生徒に対して適切に指導できるようになることを目指します。そのためICTに関する研修や道徳教育に関する研修などにおきまして、情報モラルに関する内容の充実を図っております。また、情報モラルに関する指導の充実に係る重点課題研究として、指定校におきまして、情報社会でのルール、マナーを遵守すること、情報を正しく安全に利用すること、インターネット利用における人権感覚を培うことなど、情報モラルを高める指導について実践的な研究を進めまして、その成果を各市町村に発信をしてまいります。

 

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