2021.9.21

全議会会議録(県議会のHP)

安部弘彦

皆さん、おはようございます。食と緑を守る緑友会県議団の安部弘彦でございます。それでは、通告書に従いまして、一般質問をさせていただきます。

 まず、子ども食堂等の現状についてであります。昨年の決算特別委員会で、本県の子ども食堂について質問をさせていただきました。その後、新型コロナ感染症のさらなる拡大で、四度目の緊急事態宣言など社会情勢も随分変わってきており、子ども食堂等の活動が一層難しくなっているのではないかと危惧しています。そのような中、九月一日の西日本新聞ネット版に、「コロナ禍「子ども食堂は地域のインフラ」 福岡県ネットが本格始動」との記事が掲載をされておりました。福岡県内の子ども食堂が交流する県子ども食堂ネットワークが、八月三十一日に初めての総会をオンライン開催し、本格的に活動を始動したことは大変喜ばしいことであります。
 代表に就任した筑紫女学園大の准教授大西良氏は、ワンチームとなって子ども食堂の活動を盛り立てていこうと呼びかけたそうですが、そこでまず、昨年百七十四か所の子ども食堂が存在し、活動をしていると伺っておりましたが、数の増減はあるのでしょうか。
 また、その総会には、運営者ら約二百人が参加、NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長の東京大学特任教授湯浅誠氏が講演、県内約百三十の食堂運営者を対象に、六月中旬から七月中旬に実施をしたアンケート結果を紹介されたそうであります。そのアンケートでは、約六割が活動内容を変えて継続していたそうで、食材を配るフードパントリーや、弁当配付に切り替えたと回答したのは四十二団体に上ったとのことであります。また、コロナ禍で運営を休止しているところが約二五%だったと報告されていますし、コロナ禍で支援を求める人が増えているのが現状で、湯浅氏は、コロナ禍で利用者が増えるのは全国共通の現象、食堂運営者だけでなく、自治会などと連携をして、地域全体で支援を続けるのがあるべき姿だとも語っておられます。
 昨年の決算特別委員会でいただいた答弁では、その後の現状把握等に努めるとともに、市町村や各団体の方々が抱える課題や県としての子ども食堂への関わり方について、市町村や各団体の方々と話し合い、子ども食堂の活動が継続的に進められるため必要な取組を検討すると言われましたが、そこで伺います。具体的にどの市町村や団体と、どのような話合いをされたのでしょうか、お答えください。
 また、新型コロナ感染症への対処等をしなければならないという厳しい状況下で、活動が一層難しくなっている状況ではありますが、子供食堂は、子供の居場所づくり、生活困窮家庭の子供への食事の提供のみならず、食育、高齢者の多世代との交流の場でもあり、様々な機能を有しています。県が、子ども食堂と連携をして取り組んでいることとはどのようなものなのか、併せて県として子ども食堂等に対する支援の考え方をお聞かせください。
 次に、学校現場における食育等についてお尋ねをいたします。子供の成長には、十分な睡眠、バランスの取れた食事、適切な運動など規則正しい生活習慣が大切とされています。食育は、人間が健康で豊かな生活を送る上での基礎となるもので、生きるための基礎を育てることと言っても過言ではないと思います。健全な体と心で、豊かに生き生きと暮らすこと、そのための食の正しい知識と食を選ぶ力、適切な食習慣を追求していくのが食育です。しかしながら、十時から十一時頃自宅を出て、給食に間に合うように登校している中学生がいたとも聞いています。また、最近ではコロナ禍の影響により、医療従事者の方が多忙のあまり、家庭で子どもの朝食を準備できず、子ども食堂に朝御飯を食べに行っているということも伺いました。学校においては、子どもの貧困やコロナ禍などの子どもを取り巻く環境も踏まえ、しっかり食事が取れているのか、体調や発育の状況を観察、把握し、必要な支援につなげていくことが大切だと思います。特に、心身が大きく発達する子供たちに対する食育の取組の大切さはとても重要なことでもあります。朝食の摂取と学力には、相関があると言われています。毎日朝食を取る子どもほど、学力調査の得点が高い傾向にあるという結果が出ています。朝食で様々な栄養素を補給をして、午前中からしっかりと活動できる状態をつくることのほか、よくかんで食べることで、脳や消化器官を目覚めさせ、生活のリズムをつけるというメリットもあります。
 そこで教育長に伺います。食育の推進について、学校でどのように取り組んでいるのか、また子どもだけでなく、家庭や保護者に対する取組も大変重要と考えますが、教育長の見解をお聞かせください。
 子ども食堂の形態は様々あります。学校に子ども食堂的なものを設置するなど、やり方によっては結構メリットもあるのではないでしょうか。例えば、古賀市の学校では、地域の方々が朝食ボランティアをやっていると聞き及んでいます。また、通学路や時間的な問題もあり、安全面も担保できると思います。しかし、善意でやっているところがある一方、地域の方に寄附などを半ば強制するようなところもあるとも聞いています。開設時は皆、崇高な志でスタートをされたのだろうと思います。子ども食堂等は食育も含め、子どもの健全な心身の発育に寄与するのみならず、子どもを中心とした地域コミュニティーの健全性を確保するための重要なツールの一つでもあると認識をしています。したがって、県として子ども食堂等をしっかり掌握をして、指導することが必要であるとも思いますが、さりとて、県という行政機関が単独で全ての活動を把握することは極めて難しいと思われることから、市町村や地域の関係団体との連携をより強化し、質の担保という点からも現状把握と適切な指導、支援に御尽力をしていただくことを心よりお願い申し上げ、私の一般質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。

 

服部知事

A.御答弁を申し上げます。

 

 県内の子ども食堂の数についてお尋ねがございました。全国各地の子供食堂ネットワーク団体の支援を行っております全国組織、NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえが、昨年十二月に発表いたしましたこども食堂全国箇所数調査によりますと、福岡県内の子ども食堂の数は二百か所となっております。コロナの影響で一時的に活動内容を変更したり、あるいは休止している子ども食堂はございますが、団体数としては、福岡市などの大都市を中心として広がりが見られまして、県全体としましては、昨年度の決算特別委員会での報告後の十か月間で二十六か所増加をしておる状況でございます。

 昨年十月以降の団体及び市町村との話合いについてでございます。県といたしましては、子ども食堂の活動が県内各地に広がることによりまして、生活が困窮している御家庭の子どもさんのみならず、地域の子どもの居場所や幅広い世代の交流の場としていくことが望ましいと考えておるところでございます。県といたしまして、まずは現状の把握から始めなければならないと考えまして、北九州、福岡、筑紫地区の子供食堂ネットワーク団体の皆さんと話し合う場を設けまして、意見交換を行ったところでございます。その中で、各地区のネットワーク団体からは、子ども食堂が活動を継続していくためには、個々の団体が孤立しないよう広域的なネットワークとして県単位のものが必要であり、県も広報等で協力してほしいというお話がございました。このため県は、今年五月の福岡県こども食堂ネットワークの設立に向けまして、多くの子ども食堂に御参加をいただきますため、新聞等への掲載を報道各社にお願いするなどの協力を行ったところでございます。また、同ネットワークから県に対しましては、子供食堂は地域の居場所としての役割を担っている、地域社会のインフラとして貢献したい、行政の関与は最小限とし、自主、自立的な運営をしたい、また安全に活動するためボランティア保険の加入に対する支援をお願いしたいなどの意見を、設立後すぐにいただいたところでございます。その後、子ども食堂を積極的に支援をされております北九州市とも意見交換を行いました。その際には、同市におけるNPO法人の設立支援や食材の共同購入支援、運営経費の一部補助などの施策について説明をいただいたところでございます。
 子ども食堂と連携した取組についてでございます。県では、今年度から子育て世帯の相談窓口でございます県の子ども支援オフィス、今、県内に五か所ございますが、このオフィスの体制を強化をいたしまして、子ども支援オフィスの支援員が子ども食堂を訪問しているところでございます。支援員は、生活に困窮している子どもやその家庭などの状況を子ども食堂のスタッフから聞き取り、早期に把握し、そして個別の悩みや状況に応じて市町村などの関係機関の支援窓口に適切につなぐという取組を行っているところでございます。今後は、これに加えまして、子ども食堂が生活に困窮している御家庭の子供さんのみならず、その地域の子どもの居場所であり、幅広い世代の交流の場となって、地域のにぎわいの拠点となることが望ましいといった観点から、県は子ども食堂とどのように連携をし、また支援していくべきか、研究をしてまいりたいと考えておるところでございます。

 

トップへ戻る