2021.3.5

全議会会議録(県議会のHP)


安部弘彦

改めまして、皆さん、こんにちは。食と緑を守る緑友会福岡県議団の安部弘彦でございます。それでは、通告書に従いまして一般質問をさせていただきます。

 今回の質問テーマは、高濃度PCBを含む廃棄物処理等の現状についてであります。まず、高濃度PCBを含む廃棄物の処理についてお尋ねをいたします。この問題につきましては、昨年六月議会の一般質問で我が会派の小河議員が取り上げておられますが、JESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)北九州事業所における安定器や汚染物の処理委託契約の締結期限が今月末に迫っておりますことから、改めてお伺いをいたします。
 昭和四十三年、食用油にPCBが混入をして発生をしたカネミ油症事件で、世界的にPCBの危険性、強い毒性が認識をされた象徴的な出来事として、今でも多くの人々の記憶に残っております。また、この事件の影響もあり、世界各国でPCBが製造中止となっていますが、PCBを含んだ廃棄物の処理は世界的な課題となっており、平成十六年五月に発効した残留性有機汚染物資に関するストックホルム条約の下、各国で処理が進められているところであります。我が国では、同年四月に国が設立したJESCOの事業所において高濃度PCBを含む廃棄物の処理が進められており、現在、北九州事業所においては、中部地方以西の府県に存在する安定器や汚染物の処理が行われています。
 北九州事業所における処理につきましては、該当する安定器等を保有する事業者は今月末までに処分、具体的にはJESCOとの間で処理委託契約を締結することですが、この処分を行い、北九州事業所は来年三月末までに処理を行うこととされています。PCBの強い毒性を考えると、北九州事業所の処理対象の安定器等については、保有する事業者の皆さんが今月末までに確実に処理をする必要があります。この点について、昨年六月議会で小川知事から、約七万二千事業者を対象に調査を実施してきた。未回答の五千事業者に対しては現地調査を行い、安定器等の把握に努める。保有が判明した事業者に対しては、本年三月末までに処分するよう指導していくとの答弁をされておりました。
 そこで知事職務代理者にお尋ねをいたします。調査により保有が判明をした事業者全てが今年度内に処分するよう、すなわち処理委託契約を締結するようどのように取り組んでこられたのかお伺いをいたします。
 また、コンデンサー等につきましては、平成三十一年三月末を過ぎて存在が確認された事例が多数あることから、安定器等についても同様の事例が生じないよう、県ではどのような取組を行ってこられたのかお伺いをいたします。
 次に、建築物の解体等に伴うアスベストの飛散防止対策についてお尋ねをいたします。一九九五年一月十七日、阪神・淡路大震災の際には、建築物の倒壊やその後の解体などに伴い、多量のアスベストが飛散したと言われています。当時、私も兵庫県に住んでおりましたので、鮮明に記憶をしております。今後、アスベストが大量に使用された一九九〇年頃までに建てられた、全国で二百四十万棟とも言われる建築物の老朽化に伴う解体が増加をし、令和十年度にピークを迎えるとも言われており、アスベストの飛散による被害の拡大が懸念をされます。国においては、昨年六月、大気汚染防止法の一部を改正する法律を公布し、本年四月からアスベストを含む全ての建材を規制の対象とするとともに、来年四月からは都道府県への事前調査結果の報告を義務づけるなど、建築物の解体工事における石綿の飛散防止対策を強化すると聞いております。
 そこでお尋ねします。このような状況を受け、県としてどのようにアスベストの飛散防止対策に取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
 いずれも県民の健康と生活環境に関わる重要な課題であります。しっかりと御対応いただけますよう御要望を申し上げ、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。

 

男性

御答弁申し上げます。
 高濃度PCBを含む安定器等の年度内処分に向けた取組についてでございます。県では、建物登記や経済センサスの情報を基に、安定器が使用されております可能性がある建築物、この所有者と考えられます約七万二千の事業者を対象といたしまして、平成二十九年度から電話、郵送、訪問による調査を実施いたしました。昨年十一月までに全ての調査を終了をいたしました。この調査によりまして、安定器等の保有が確認をされました九十八の事業者に対して、電話や訪問によって繰り返し年度内の処分を働きかけてきました結果、JESCOに確認いたしましたところ、三月一日の時点で九十の事業者が処理委託契約を締結をいたしております。現時点で委託契約を締結しておられません八事業者につきましては、年度内処分の完了に向け、環境省やJESCOとも連携しながらしっかりと指導をしてまいります。
 また、コンデンサー等の調査の際には、御指摘のとおり、事業者がコンデンサー等を倉庫や配電室など別の場所に移して保管していたため、その存在を失念していた事例が複数確認されております。県といたしましては、これまで県広報紙や新聞広告等により、安定器等の保有状況の確認及び期限内処分の周知を図ってまいりました。これに加えまして、昨年の十二月からは、安定器等の調査の終了後であっても確認漏れがないか、再度、県広報紙や関係団体のメールマガジンなどを用いて注意喚起を行いまして、安定器等の期限内の処分が進むよう取り組んでおるところでございます。
 次に、建築物の解体等に伴うアスベストの飛散防止対策についてでございます。昨年六月に行われました大気汚染防止法の改正内容は、本年四月からアスベストを含む全ての建材が規制対象となること。来年四月以降は、床面積が八十平方メートル以上の解体工事及び請負金額が百万円以上の改造、補修等の工事につきまして、事前のアスベスト含有調査の結果を都道府県に報告しなければならないこと。令和五年十月以降は、この事前調査を行うには資格が必要になることなどでございます。これらの内容につきましては、市町村や福岡県解体工事業協会ほか二十四団体に通知いたしますとともに、県ホームページや新聞広告により周知を行っております。このたびの法改正によって規制対象となった飛散性の低いアスベスト建材は、内装材や外装材として様々な用途で使われておりまして、アスベスト含有の判別が難しいことから、これらを適正に見分ける能力が求められるわけでございます。また、今後、老朽化した建築物の解体の増加も予測されますことから、この調査を適正に行える解体、建築業者等の育成が必要でございます。このため来年度からVR技術を活用して、疑似空間内で実技講習を体験できる県独自の講習会を開催をいたしまして、県内の解体、建築業者等の調査能力の向上を図ってまいります。このことは、令和五年度から必要となる、先ほど申しました資格取得に役立つものと考えております。さらに、解体等工事の監視、指導を行う県職員につきましても同様の能力が必要とされ、立入り対象件数も増加すると見込まれますことから、このVR技術を活用した講習会に県職員を参加させることで監視能力の向上を図ってまいります。県としては、これらの取組をしっかり進めることによりまして、建築物の解体等に伴うアスベストの飛散防止を図ってまいります。

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