2020.10.6

安部弘彦

緑友会の安部弘彦でございます。通告書に従いまして、空き家の利活用の促進についてお尋ねをいたします。

 人口や世帯数の減少といった社会構造の変化により、空き家の増加が社会問題となっています。総務省が5年ごとに行う住宅・土地統計調査では、賃貸、売却用の空き家や別荘などの空き家を除いた利活用されない県内の空き家の数は、平成30年には12万6千戸となっています。これは、この20年間で2倍の数に増えたことになります。
 空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、市町村が適切な管理を行わずに周辺の生活環境に悪影響を及ぼす、いわゆる特定空家に対して行う助言、指導、勧告、命令、行政代執行、それから略式代執行の件数が、福岡県が九州で一番多くなっています。これは市町村の空き家対策に対する県の支援がうまくいっている結果と考えておりまして、引き続き市町村と協力して進めてほしいと思います。
 一方で、老朽空き家の発生を抑制していくためにも、使える空き家は使っていくことが重要と考えております。そこで、空き家の利活用について市町村では、空き家バンクの設置などにより、空き家の利活用に取り組んでいると思います。県では、平成30年から県版空き家バンクを開設しておりますけれども、この空き家バンクについて説明をお願いします。

男性

(山本住宅計画課長)

県では、福岡県宅地建物取引業協会及び全日本不動産協会福岡県本部と連携をいたしまして、平成三十年から県版空き家バンクを運営しております。
 県版空き家バンクでは、県内市町村の空き家バンクの情報を集約いたしまして、町の魅力や移住者への支援策などを併せて情報発信を行っております。この県版空き家バンクの参加市町村数は、現在四十五市町村となっており、残りの市町に対しても参加を働きかけているところです。

安部弘彦

ただいま答弁いただきましたけれど、県版空き家バンクのほか、県では空き家の利活用について、これまでどのように取り組んできたのかお尋ねをいたします。

 

 

 

 

男性

(山本住宅計画課長)

空き家の利活用につきましては、県が市町村や関係団体と共に平成二十七年に設置をいたしました福岡県空家対策連絡協議会におきまして、空き家の流通促進を図るため、空き家所有者の調査や宅建事業者との連携の方法などを取りまとめをしました空き家流通促進マニュアルを作成しております。また、空き家活用の先進事例を支援いたしまして、その普及を図るモデル事業も実施しております。
 さらに、空き家を安心して売買するための建物状況調査、いわゆる住まいの健康診断に対する補助、若年世帯や子育て世帯が中古住宅を購入してリノベーションをする際の補助などを行っております。

安部弘彦

県版空き家バンクをはじめ、空き家の利活用に向けた取組については、一定の成果が上がっているようでありますので、引き続き進めてほしいと思います。

 今後、空き家バンクの利活用については、単なる売買や賃貸だけでなく、福祉や観光振興などの他の分野の施策と連携を検討する必要があると考えております。例えば、近くの空き家をふだんからお年寄りなどが集うサロンとして利用しつつ、場合によっては災害時の避難所としても利用できるといった使い方、それから町家風の空き家を改修して観光資源や地域のイベント会場として利用するといった使い方なども考えられると思います。
 そこで、県では市町村や地域における様々な取組と連携をして、空き家の利活用の促進について、どのような取組を行っているのか伺います。

男性

(山本住宅計画課長)

先ほどお答えしましたモデル事業におきまして、空き家を地元住民の交流拠点として再生し、カフェやイベント会場として活用したり、福祉事業の拠点として再活用するなどの取組を実施いたしました。
 また、うきは市や八女市などにおきまして、国の街なみ環境整備事業などを使いまして住宅などを当時の建築様式に修理、修景いたしまして、観光資源や福祉施設として活用しております。
 県では、これらの取組の内容や国の補助事業の効果的な活用方法をパンフレットに取りまとめまして、県内の全市町村に情報提供を行い、創意工夫のある取組を行うよう助言をしております。

 

安部弘彦

今、御説明があったように、市町村とも連携をして、地域の活性化につながるような空き家の利活用事例をぜひ増やしていってほしいと思います。

 ところで、空き家を所有している人の中には、相続の問題が整理できなかったりして、住宅に家具や荷物が残ったままであったりして、今後どうしていいか分からなくて困っているという人の声も多いと思います。
 県では今月、空き家や将来空き家になりそうな住宅の所有者からの相談に応じる空き家活用サポートセンターを開設すると聞いておりますけれども、このサポートセンターについて説明をしてください。

男性

(山本住宅計画課長)

県では、空き家の活用処分と発生抑制を図るため、市町村や各種業界団体と連携をいたしまして、今月二十日に福岡県空き家活用サポートセンターを福岡県建築住宅センター内に新たに開設いたします。この活用サポートセンターでは、専門知識を有する相談員が空き家の所有者等に対する相談対応から、その活用、処分方法の具体的な提案、さらには専門事業者等のマッチングまでワンストップで行うこととしております。
 その際には、市町村とも連携をいたしまして、定住促進など、地域の振興や観光振興につながる空き家の活用にも取り組んでまいりたいと考えております。

安部弘彦

サポートセンターでは、専門事業者とのマッチングを行うということでありますけれども、具体的にはどのようにして行うか、お尋ねをいたします。

 

 

 

男性

(山本住宅計画課長)

相談者が、具体的な活用、処分の方法を決めた場合には、それを安心して依頼できる事業者を探す必要がございます。
 このためサポートセンターでは、相談者の意向を踏まえまして、空き家の売却や賃貸を行う場合は宅建事業者、相続手続が必要な場合は司法書士事務所、家財の片づけが必要な場合はその専門事業者など、様々な専門事業者とのマッチングを幅広く行うこととしております。
 例えば、宅建事業者とのマッチングでは、新たに構築いたしますシステムに空き家の物件情報を掲載いたしまして、その取扱いを希望する宅建事業者から一斉に査定をいただき、相談者はその結果を参考に宅建事業者を選択するということになります。

安部弘彦

サポートセンターの役割については理解ができました。

 これを多くの人に利用してもらうためには、空き家や将来空き家になるおそれがある住宅の所有者をいかに相談につなげていくかということが重要だと思います。それをどのように考えているのかお尋ねいたします。

 

男性

(山本住宅計画課長)

委員御指摘のとおり、空き家の所有者等をいかに相談につなげていくかということが重要だと考えております。このため、サポートセンターの取組につきまして、県、市町村の広報紙やホームページ等で周知を図ってまいります。
 また、市町村と連携をいたしまして、県内各地でセミナーや出張相談を実施するとともに、市町村の固定資産税の納税通知書にチラシを同封していただくなど様々な方法によりまして、空き家所有者等への働きかけを行ってまいりたいと思います。

 

安部弘彦
ぜひともこのサポートセンターが十分に機能して、空き家の利活用が促進されることを期待して、私の質問を終わります。ありがとうございました。

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