2021.0921
まずは感染症対策の機能を備えた省エネ設備についてであります。まずはコロナ禍にあって、医療機関をはじめ市町村、自衛隊、消防、警察など関係機関の皆さんはもちろんのことですが、県庁や保健所の職員の方もまた、休日や昼夜を問わず、県民の皆さんのために見えない敵と闘っているわけであります。知事もお疲れでございましょうが、このような現状をしっかり胸に受け止め、職員を大切にしていただきたいと思います。
さて、こうした極限状態で働く職員の健康を保つため、職場環境の整備は、適正な空調や照度の確保が大事であります。思えば今年は四月になっても寒い日がありました。これは原則三月までの暖房期間を超えて対応したと聞いております。この先は湿度や暑さとの闘いに移ります。冷房の期間や温度設定にも原則はありますが、こういった危機状態にあっては、弾力的な運用をお願いするところでもあります。
県庁には県内外を問わず、様々な方が訪れます。コロナウイルス感染症対策として、マスク着用や手洗いに加え、感染症対策のための設備導入も検討する必要があると考えます。コロナウイルス感染症への対応を継続しながらも、エネルギーの消費者としての省エネ対策は重要であり、この対策は大きく分けて、日常的な節電や節水などの運用面での対応、そして省エネ対策が施された設備への更新の二つであります。したがって、省エネ対策と感染症対策を融合させるとの観点も意義あることだと思います。このような観点から、例えばウイルス滅菌効果のあるLED照明の導入などができれば一石二鳥ではないでしょうか。
そこで知事にお伺いをいたします。昭和五十六年十一月に完成をした現在の県庁は、今年で三十九年となります。これまで省エネ対策としてどのような設備更新を行ってきたのかお答えください。
また感染症対策の機能を備えた省エネ設備の導入について、どのように考えておられるかお答えください。
大雨や地震などの災害が発生した場合の避難所では、今回のような感染症を含め衛生面に細心の注意を払う必要があり、この運営は市町村が担うことになります。やむなく避難をされた方々の心労を思えば、避難所の環境整備は大変重要です。今後県が感染症対策の機能を備えた省エネ設備に更新した場合には、その取組をいち早く市町村はもとより、広く公表することを要望しておきます。
次に、県内企業によるLED等応用製品の開発支援についてお伺いをいたします。今回の感染症で、国民の衛生に関する意識は、これまで以上に高まっていることは疑いのないところであります。省エネだけでなく感染症対策に配慮した設備の需要は高まっていくものと考えます。省エネに加え、感染症対策となる抗菌作用のある新技術として、国内外の研究機関や大学、企業が開発するLEDや光触媒、オゾン、マイナスイオン等は周知の事実であります。例えば理化学研究所や情報通信研究機構とトクヤマ、日機装、旭化成、東芝ライテック、スタンレーなどでは、深紫外線といった空間除菌消臭の新技術を、ウシオ電機のエキシマランプを使った紫外線UV─Cは、神戸大学や島根大学などの知見でも、人や動物の皮膚や目に安全でありながら、紫外線本来の殺菌、ウイルスの不活化能力を保持した新しい殺菌用光源であります。また長崎のイナヅマ電気工事では、光触媒を活用した抗菌分解消滅性を持ったLED照明器具の開発、販売を既に行っています。さらに台湾のサンダーソウルでは、SGS認証の照明用抗菌LEDチップを開発、販売をしています。人体や動物に影響を及ぼすことのない活用可能な技術は、抗菌、滅菌、除菌、消臭だけではなく、O157やカビなど、あらゆる細菌の増殖を抑制できるとされています。今回の感染症対策だけでなく、公衆衛生を必要とされる飲食店、旅館、ホテル、介護施設、食品工場や生鮮品売場、水産、畜産業等々、様々なあらゆる場所で活用できます。このような光源、LEDは、今後活用の幅が大きく広がっていくものと期待できます。私は、県が県内企業によるLED等応用製品の開発を支援し、省エネや感染症対策ができれば県内産業の振興にもつながり、有効だと考えますが、いかがでしょうか。
このような省エネ、感染症対策、企業支援も併せて両立を図っていくこと、そして県が先頭に立って福祉、医療、保育、幼稚園、学校など公共性を持った施設や交通機関から順次整備をしていくことを強く要望し、一般質問を終わります。知事の明快な答弁をお願いいたします。
御清聴ありがとうございました。
A. お答えを申し上げます。
まず初めに、県庁舎の省エネを目的とした設備の更新であります。これまで省エネ対策といたしまして照明、給排水、そして空調の設備更新を行ってきております。具体的に申し上げますと、照明設備につきましては、平成二十一年度から二十三年度にかけまして、ロビー、執務室、そしてトイレ等におきまして、消費電力量の少ないLED照明等に更新をいたしております。併せてトイレには人感センサーを導入したところであります。給排水設備につきましては、平成二十五年と二十六年度、両年度実施をいたしましたトイレの全面改修の際に、便器を節水型に替える、併せて手洗い器をセンサーつきの器具に替えたところであります。空調設備につきましては、平成二十二年度に二十四時間空調を行う必要のあります行政無線室、電話交換室、そして電気室におきまして、それぞれ消費電力量を抑える高効率空調機に更新をいたしたところであります。
次に、感染症対策の機能を備えた省エネ設備の導入についてでございます。こうした設備の更新に当たりましては、所定の性能を満たすことはもちろんのこと、費用対効果、安全性等のデータも比較をいたしまして、導入をする設備の検討を行っているところであります。お尋ねの滅菌効果があるとされております設備につきましては、人体への安全性がまだ十分に立証されてないと、そういった課題がございまして、現段階での導入というのは難しいのではないかと考えております。今後の開発状況、そしてそこでの安全性、その検証状況というものを注視をしてまいります。
次に、LED等製品の開発についての支援でございます。県におきましては、工業技術センター機械電子研究所にLED製品に用いるレンズや反射板の設計を支援する光学解析システム、また光の広がりや強さを分析する照明特性評価システムというものを整備をしておりまして、県内中小企業によりますLED製品の開発を支援してきております。これまで全体を均等に照らすことのできる看板用照明の開発、また光の広がりを抑えた省エネタイプの薄型天井灯など四件の製品の開発を支援してまいりました。現在滅菌作用のある深紫外線LEDなど新たな光源が注目をされております。照明器具以外の用途への広がりも期待されているところでございます。今後企業の要請に応じまして、こうした製品の開発についても、機械電子研究所、その持っております設備、技術、人材を活用して、その支援を行ってまいります。