2019.12.11

全議会会議録(県議会のHP)


安部弘彦

改めまして、皆さん、おはようございます。食と緑を守る緑友会福岡県議団の安部弘彦でございます。それでは、通告書に従いまして一般質問をさせていただきます。

 本日のテーマは、中小企業が抱える課題とその支援についてであります。中小企業庁の資料によると、二〇一六年の福岡県内の中小企業の数は約十三万五千社であり、県内企業全体の九九・八%を占め、県内の雇用の約八割を担っております。中小企業は、まさに本県の経済と雇用を支える原動力と言えます。とりわけ県の基幹産業である自動車産業も大変裾野が広く、多くの中小企業に支えられ、北部九州における世界有数の自動車生産拠点を形成しています。一方で、県内の中小企業の数は減少傾向にあり、二〇〇九年から七年間で約一三%、一万九千社以上減少しており、県経済の活力維持と雇用の確保のためには、中小企業の生き残りと創業など、新たな企業創出により企業減少に歯どめをかけることが喫緊の課題と思います。このような状況において、県内中小企業が抱える課題とその支援について知事に何点かお尋ねをいたします。
 まず、知事は県内の中小企業が直面する課題をどのように捉え、どのように対応されているのかお答えください。
 我が国では急速な少子、高齢化に伴い人口減少が進んでおり、総務省の人口推計によれば、我が国の人口は八年連続で減少し、二〇一八年十月一日現在の生産年齢人口の割合は五九・七%と、比較可能な一九五〇年以降、過去最低となっています。また、二〇一八年の福岡県の人口は、前年比で微増しているものの、既に生産年齢人口は二万人減少しています。その割合は五九・二%と、全国を下回っています。さらに、福岡県人口ビジョン・地方創生総合戦略では、二〇二〇年には県の人口も減少局面に入ることが予測されています。
 こうした中、企業の事業活動を支える労働力人口も減少しており、特に中小企業において人手や人材の不足が顕著になっています。県が実施した県内中小企業へのアンケート調査でも、半数の企業が人手が不足していると回答するなど、中小企業にとって人手や人材の確保は最も深刻な課題の一つとなっています。そうした中、県では中小企業の生き残りを図るため、直面する人手不足に対応し、中小企業の生産性向上を支援する目的で、本年九月に福岡県中小企業生産性向上支援センターを開設し重点的に支援に取り組んでいます。
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 そこでお尋ねします。現在までにどういった分野の企業から、どのくらいの支援の申請が行われているのか、中小企業によるセンターの利用の現状についてお示しください。
 次に、一くくりに県内の中小企業といっても、その業種や規模は多種多様であり、生産性向上のためにIoTやロボットの導入など設備投資を行うことができる体力のある企業から、日々の仕事に追われながら、どうして生産性向上をしていってよいかわからない零細企業まで、その実態はさまざまであります。センターでは個々の企業の課題に応じた生産性向上の支援を行うこととしていますが、このような実態の異なる企業に対し、どのように支援に取り組んでいるのかお尋ねをいたします。
 今後も加速することが見込まれる少子、高齢化は、内需の減退や生産年齢人口の減少など、地域経済に及ぼす影響は大きく、地域経済を担う中小企業は、それぞれに深刻な課題に直面していると思います。従業員を十分に確保できない中で、中小企業が売り上げを維持、成長していくためには、従業員一人当たりの付加価値である労働生産性を高めていく以外に方法はないと思います。そのような中、生産性向上支援センターが果たす役割は極めて重要であります。今後のセンターの活動に大いに期待するとともに、一社でも多くの企業の生産性向上を実現させていただくことを強く要望して、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。

 

A. お答えを申し上げます。
 中小企業が直面しております課題とその対応でございます。人口減少、少子、高齢化が進展をしていく中で、中小企業にとりましては、まずは国内市場の縮小、そして人手不足への対応、また経営者の高齢化に伴う事業承継、これらが重要な課題であると認識をいたしております。こうした課題に対応していくため、まず国内市場の縮小につきましては、工業技術センターにおきましては、高付加価値の新しい製品の開発の支援、またアジアビジネスセンターの国別、分野別のアドバイザーによります海外の事業展開の支援、そして外国人観光客の誘客の促進、そういったことを対応しているところであります。また、人手不足に対しましては、御指摘の中小企業生産性向上支援センター、ここにおける業務プロセスの改善等を通じた生産性向上の支援、また年齢別、対象別の就職支援センターによりますきめ細かな就職の支援、また事業承継につきましては、事業承継支援ネットワークによります事業承継診断と、それを受けての事業承継計画の作成、これについての支援、これらに取り組んでいるところであります。今後とも、個々の中小企業の発展段階と、それから事業環境、それに合わせまして、こうした取り組みを初め、きめ細かく支援をし、中小企業の振興を図ってまいります。
 次に、中小企業生産性向上支援センターの利用状況についてお尋ねがありました。十一月末現在、五十八社の利用申請があっておりまして、その内訳は、食料品製造業十二社、生産用機械器具製造業七社など、製造業が五十一社、建設、運輸業、サービス業、これらが七社となっているところであります。このうち五十三社につきまして企業診断を実施をし、うち二十六社について診断結果に基づき改善支援計画を策定しているところであります。また、十三社につきましては既にこの支援計画が作成されておりまして、この計画に基づき具体的な支援を行っているところであります。
 個々の企業の課題に応じた具体的な支援についてお尋ねがございました。中小企業の生産性向上を図っていくためには、議員御指摘のとおり、事業規模、業種、業態、設備の状況など個々の企業の状況と現場の実態に合わせて支援を行っていく必要がございます。このためセンターにおきましては、まず中小企業診断士等が企業の現場に赴きまして企業診断を実施し、それぞれの課題の明確化を行います。その結果を踏まえ、当該分野を専門とする生産性向上支援アドバイザーが、整理整頓といった五Sや治具の活用、IoTの導入等、具体的な支援計画というものを作成し、改善支援に取り組んでまいります。例えば、製造工程で発生する不良品の率が高い、こういう診断を受けた食料品製造業がございますけれども、製品加工の円滑化を図る治具の導入について、今検討が進められているところであります。また、荷物の仕分け作業の効率が悪いと指摘された道路貨物運送企業につきましては、非効率な工程を抽出をし、作業レイアウトの変更に取り組むとともに、ロボットを活用した仕分け工程の自動化についても検討が進められております。そして、こうした結果、設備導入が必要な場合には、県のほうで新設をしております導入費の補助、あるいは低利融資でその支援を行ってまいります。今後とも、企業ごとの現場とその課題、これをしっかり把握しながら、それに対応したきめ細かな支援を続けてまいります。

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