2019.10.7
北部九州自動車産業アジア先進拠点の構築に関しては、昨年の北部九州の自動車産業生産台数は百四十三万台を超えて、過去最高となっております。全国におけるシェアも約一七%を占め、アジアにおける自動車の一大生産拠点に成長をしております。
一方で、二〇一五年十二月にパリ協定が採択をされ、協定に掲げられた目標の達成に向けて、世界的に環境規制の導入が進んでいるところであります。例えば、イギリス、フランスでは、二〇四〇年までにエンジン車の販売を禁止すると公表をしております。また、ドイツでは、二〇二〇年までに電気自動車百万台、また同連邦議会が二〇三〇年までに発火燃焼エンジンの生産を中止するという決議が採択をされました。お隣の中国では、販売車台数全体に占めるEVの新エネルギー車の割合を二〇一九年から一〇%、来年二〇二〇年からは一二%に義務づけ、さらに、将来的にエンジン車の生産販売を中止する検討をされております。
今後、自動車の電動化には加速の一途をたどることが見込まれております。我が県もそうした動きを見据えて、アジアの先進拠点の構築を目指して取り組んでおられると認識をしております。そこで、まず、このような自動車の電動化が急速に進む中で、地域の自動車産業の振興を図るために、県としてどのような取り組みを行われているのかお尋ねをいたします。
自動車の電動化が進展しますと、車の電子化というものがますます進み、カーエレクトロニクス分野の部品の割合がさらに高まってまいります。このため県では、カーエレクトロニクス分野の企業の誘致を促進するとともに、地元中小企業の参入を支援するため、大手電子・電装分野の企業のOBをカーエレプロモーターとして中京地区と県内それぞれ一名配置しまして、発注企業のニーズの把握や地元企業の掘り起こしを行い、マッチングを実施しております。
また、カーエレクトロニクス分野の大手企業が集積しております中京地区におきまして、県内の企業などが技術や製品を出展し大手企業などに紹介する展示商談会を開催しております。
さらに、昨年度から、自動車電動化部品研究会を開催し、ガソリン車とEVやハイブリット車の違いや、新たに需要が見込まれますモーターやインバーター、バッテリーなど電動車の共通部品の構造や加工技術などについて、地元中小企業の理解促進を図っているところでございます。
昨年度の研究会では、経済産業省によります国の電動化戦略についての講演や、日本自動車研究所の専門家によります電動車の構造、部品、技術についての講習のほか、分解しました電動車の部品の現物を使った技術解説を行いまして、百十社、百六十九名の方に参加いただきました。
参加企業へのアンケートでは、九割を超える企業から大変参考になったまたは参考になったと回答いただいており、地元企業の理解促進に一定の効果が出ているものと思っております。
不要となる部品にかかわっている企業の方々は大変不安感を抱いていると思われますけれども、電動化の影響について、研究会に参加した企業の方からはどういった声が聞かれているのかをお尋ねいたします。
参加企業へのアンケートによりますと、電動化の影響につきまして、約四割の企業が受注量の変化を挙げております。また、新しい技術の習得が必要になる、新しい部品への参入が必要になるといった、電動化により新たな対応に迫られる点を懸念する声も上がっております。
また一方で、その対応としまして、新しい技術の習得や新しい部品への参入などに関する具体的な取り組みを既に行っている、または今後行うという企業が約六割に上っており、県としましては、引き続きこの研究会を通して地元企業の新しい分野への参入の意欲を高めるとともに、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
先ほどの説明にもありましたように、中京地区の大手カーエレクトロニクス企業と地元中小企業とのマッチングも大事と考えておりますけれども、一方で、九州はかつてシリコンアイランドと呼ばれて、日本全体の六割を占める半導体を生産していたアイランドであります。半導体メーカーが多く立地をし、カーエレクトロニクス分野に参入をしている地元大手メーカーなども存在していると思います。そうした地元の大手メーカーと中小企業が連携をして部品開発などを進めているところもあろうかと思います。
新たな分野への参入に有効と考えておりますけれども、現在そうした連携促進をする取り組みをしているのか、もしされているのであれば、どういった内容について連携を進めておられるのかお伺いいたします。
委員から御指摘のとおり、九州には半導体や電気機器などの分野の大手メーカーが立地しており、そうした企業との連携は、地元企業の技術力の向上、またカーエレクトロニクスなど新たな分野への参入に大変有効であると考えております。
先ほど申し上げました県内に配置しておりますカーエレプロモーターにつきましては、地元の大手電機メーカーのOBであり、地元中小企業の掘り起こしだけでなく、そういった地元大手メーカーから技術や製品の情報収集を行っており、必要に応じて両者の連携を仲介しております。
また、県の外郭団体、福岡県産業・科学技術振興財団の三次元半導体研究センターにおいて、次世代自動車の開発を加速するため、地元に拠点のある大手企業を初め、中小企業、大学など産学官の積極的な技術交流を促進し、新たな部品開発などの取り組みを進めることとしております。
さて、最近の貿易を見ていますと、特に米中の経済摩擦の影響で中国市場の減退が懸念をされる一方で、世界最大の自動車の市場であるお隣の中国に近い我が福岡県にとっては、市場獲得のチャンスとも考えられると、私自身はそう考えております。アジア先進拠点を目指している福岡県として、今後どのようにその辺を考えて取り組んでいかれるのかをお尋ねいたします。
委員から御指摘がありましたとおり、中国は世界最大の自動車市場であり、地理的にも本県に近く、北部九州の自動車メーカーは、中国を含むアジア市場への輸出拠点になっております。今後も北部九州がアジアに向けた生産拠点として発展していくためには、品質とコストの両面で競争力を高めるとともに、開発から生産まで一貫して担える拠点として成長することが重要であると考えております。
このため県では、さらなる関連企業の誘致を促進するとともに、地元企業の開発力や技術力の強化、人材の育成、確保の支援、また、先ほど申し上げましたカーエレクトロニクス分野への企業集積などに取り組み、アジアにおける自動車産業の先進拠点の構築を目指してまいります。
自動車産業の振興についてでございます。委員から御指摘がございましたとおり、北部九州の自動車の生産台数は、昨年度、百四十三万六千台ということで過去最高でございました。その生産能力も百五十九万台の能力がございます。イギリス一国並みの能力でございます。まさにアジアをリードいたします一大生産拠点として成長しているのではないかと考えているところでございます。
一方でまた、委員から御指摘がございましたとおり、この自動車産業を取り巻く環境は大きく変化をしております。これまでのようにただ車をつくるということではございませんで、いわゆるCASE(ケース)と言われます、つながるとか電動化、自動化のような、まさに百年に一度の大変革期と言われているところでございます。
このため本県といたしましては、先んじて電動化部品研究会とか、あるいは自動運転セミナーなどを開催いたしまして、中小企業の皆様方がこのような変革に適切に対応いただけるように御支援をしているところでございます。今後とも本県といたしましては、このような取り組みを進めることによりまして、この一大生産拠点のさらなる発展を目指してまいりたいと考えております。