2019.10.3
先日から本県でもラグビーワールドカップが始まったところであり、来年二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピックなどを契機として、本県にも多くの外国人の来訪が予想をされております。当然ながら、外国人来訪者の増加とともに感染症の発生リスクも増加すると予測されます。これには、検疫所による水際対策を初め、感染症が発生した場合には保健所が疫学調査などを行い、感染拡大の防止対策に取り組んでいると承知をしております。また、O157やノロウイルスなどの食中毒への対応における衛生検査所の役割は極めて重要であると考えております。
そこで、衛生検査所について、感染症や食の安全に関しては保健所を中心に検査が実施されており、検査の質は確保されていると思いますが、血液などの検査に関しては、保健所や医療機関のほかに民間の衛生検査所においても行われていると聞いています。そこで、衛生検査所とはどのようなところなのかお伺いいたします。
臨床検査技師等に関する法律に基づき都道府県知事の登録を受ける必要があります。
血液等の検体検査をみずからの施設で行えない医療機関は、都道府県に登録された衛生検査所に検体検査を委託しております。
本県における10月1日現在の衛生検査所の登録数は49施設となっております。
衛生検査所では、肝炎ウイルスなどを調べる免疫学的検査を初め、がん細胞の組織を調べる病理学的検査や検体の遺伝子配列情報を検査する遺伝子関連・染色体検査など七つの分野について検査を実施しております。
衛生検査所を開設するに当たっては、検査分野の数や内容に応じ一名から三名以上の医師または臨床検査技師を置く必要があります。また、検査室につきましては最低備える面積基準が規定されており、検査分野の数や内容に応じ、必要な面積は広くなってまいります。また、遠心機や顕微鏡のほか、検査項目によっては自動免疫測定装置や自動血球計数器などの専用器具が必要となります。また、標準作業書や作業日誌などの作成、感染症廃棄物を管理するための保管庫、排水設備等の整備が必要となってまいります。
県では、登録されている全ての衛生検査所に対し、二年に一度、衛生検査所を管轄する保健所が立入検査を実施し、関係法令等に規定されている人員や施設設備、検査用機械器具、標準作業書や作業日誌などの書類が整備されているかを確認いたしております。
立入検査において不備が発覚した場合は、改善を行うよう文書等により指示を行い、おおむね三週間から四週間以内に改善の方法と対応結果を報告させ、適切に改善されたことを確認いたしております。
そこで、県内にある先ほど言われた四十九施設、どの衛生検査所で検査を行っても同じ結果になるように検査結果の質、精度の確保に向けて、県はどのように取り組んでおられるかお尋ねをいたします。
県では、衛生検査所で行われている検体検査の方法や検査結果の質の向上を図るため、大学病院の教授や公的病院の臨床検査技師長など有識者十名を精度管理専門委員として委嘱して、専門的視点からの指導を行っております。
具体的には、精度管理専門委員が衛生検査所への立入検査に同行し、検査の手順等を定めました標準作業書に基づき検体検査が適切に行われているかなどを確認いたしております。また、毎年、同一の血液で作成されました検体を各衛生検査所に配付して検査を実施してもらい、その報告された検査結果について精度管理専門委員が分析、評価を行っております。不正確な検査結果が出た衛生検査所に対しましては、速やかに検査方法の改善を行うよう指導いたしております。
遺伝子関連検査につきましては、ゲノム医療の実用化に向けた検査の品質、精度を確保するため、昨年、臨床検査技師等に関する法律施行規則が改正されました。主な改正内容は、検体検査全般の精度管理に係る責任者のほかに、遺伝子関連・染色体検査に係る責任者を置くこと、保管・保有する検体を用いて他の検査機関と相互に検査結果を比較し、検査・測定方法の妥当性を確認するなど精度の確保に努めることとされており、他の検査分野に比べて厳しい内容となっております。
県内には、遺伝子関連の検査を行っている衛生検査所が十カ所ございますが、この内容について周知を図るとともに、今年度実施いたしました立入検査では、遺伝子関連・染色体検査に係る責任者が設置されていることを確認いたしております。今後とも、検体検査の精度管理が適切に行われるよう、立入検査等において指導してまいります。
医療におきます正確な検査結果というものは、その後の適切な診断、治療を行う上でも必要不可欠であります。医療機関における検体検査の外部への委託が普及している現在、この衛生検査所で行われる検体検査は、県民の皆さんが安全・安心な医療を享受する上でも重要な役割を担っていると言えます。
先ほど課長が答弁いたしましたけれども、検査精度を高めるためにこれまでも立入検査の実施、それから精度管理専門委員による指導を行ってまいりました。今後もこれらの取り組みを通じまして、各衛生検査所で行われている検体検査の品質、そして精度が確保されるよう、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。